隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
うぅーん。
どうしたんだろう、凄く、体がだるい。
それに・・・頭が痛い。

ううーんっと、ここは・・・
私はゆっくりと目を開けてから、自分で目をこすってみた。

見えるのは見慣れた天井。
どうやらここは自宅の自分の部屋。
窓から夕陽が差し込んでいるところを見ると、今は夕方。

えっと、私の最後の記憶は・・・・
会社で、昼休みが終わって、三朝建設の専務のお迎えに・・・
アッ。
私、眩暈がして倒れたんだ。

「あら桃、目が覚めたのね」
ドアが開いて、母さんが入って来た。

「うん、母さん私」
どうやって帰って来たのと聞こうとして、言葉が止まった。

ちょうど来客のタイミングだったし、きっと迷惑をかけたんだろうなと想像して怖くなった。

「創介さんがホテルの医務室へ運んでくださって、父さんが迎えに行ったのよ。父さんは会議があって仕事に戻ったけれど、随分心配していたわ」
「そう。迷惑かけてごめんなさい」

子供の頃から健康が取り柄で倒れたことなんてなかったから、父さんも驚いたことだろう。

「桃が目覚めたって、父さんに連絡してくるわ」
「うん、ありがとう」

母さんが部屋を出て行き、私はベッドサイドのテーブルに置かれたスマホを手に取った。
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