隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
体調不良
体調不良で倒れた翌日から有休をとり、私は週明けから会社に復帰することにした。
父さんやお兄ちゃんには病院へ行くようにすすめられたけれど、気力も体力もない私はベッドから起き上がれず家で過ごした。

「本当にもう大丈夫だな？」
週明け職場復帰の日、朝食の時間まで父さんは私の後をついて来る。

「平気よ。週末ゆっくりしたせいですっかり元気だから」

さすがにまだ食欲は戻らないけれど、動くのに問題ないくらいには回復した体を父さんにアピールした。

私が倒れ休んでいる間、父さんも母さんもとても心配していた。
頼みもしないのに私の好きなシュークリームを買ってくる父さんや、子供の頃からの好物を並べようとする母さんに、もう子供じゃないのにと笑いそうになったが、これも親の愛情なのだろうと感謝していただいた。
優也さんの言葉を借りるなら、私は『心から愛してくれる両親がいる幸せな人間』なのだと実感した。

「ところで桃、例の話だが」
通勤用のカバンを持って玄関へ向かおうとした私に、父さんの声がかかる。

「はあー、もう、父さん」

私は大きなため息とともに足を止め、父さんに向き直った。
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