隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「桃、話があるんだろ？」

買ってきたつまみと即席で作ったパスタを食べながら、隼人が私を見ている。
どうやら急に会いたいと言った私に、何か話したいことがあると気づいているらしい。

「うん、実は・・・」

今日、私は隼人に『お見合いをすることになった』と伝える覚悟をしていた。
お見合いをする以上隼人との関係を続けたままっていうのも不誠実だと思うし、私自身もけじめをつけるべきだろうと感じたからだ。
もちろん、簡単に結論が出るとは思わないけれど、このまま黙っているわけにはいかない。

ブブブ　ブブブ
ちょうど私が口を開こうとしたタイミングで鳴った隼人への着信。

「ちょっとごめん」
画面を見た隼人は、スマホを持って部屋を出て行った。

「はい、はい。・・・それは・・・うぅーん」

廊下から聞こえてくる声は幾分困惑した様子で、隼人は時々唸っている。
歯切れの悪さから仕事の電話ではなさそうだし、友人からの電話って感じでもない
その時、なぜか私の頭に川村唯の顔が思い浮かんだ。
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