隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「えっと、はい、はい。・・・わかりました。いえ、こちらで探してみます」

ソファーに座ったまま凄く神妙な様子で電話に出る隼人に、今度は仕事の電話のようねと思いながら私は聞いていた。

「いえ、僕の方で心当たりをあたって、またご連絡します」

電話を持ったまま何度も頭を下げる隼人を見ながら、何かのトラブルかしらと心配になった。
よほどの事がなければここまで困った顔はしないはずと、横にいる私もだんだん不安になってきた。

「はい、はい。失礼します」
5分以上話して電話は切れた。

スマホをテーブルの戻した隼人は大きく息をついて、頭を抱えるように下を向いた後、ギロリと私を睨んだ。

「え、何?」

真っすぐに私に向けられた隼人の視線は、間違いなく怒りを含んでいる。
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