隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「高井社長からの電話だった」
「え、父さん?」
「ああ。桃が帰らないが心当たりがないかって聞かれた」

そうか。
きっと私が電話に出なかったから、隼人にかけたんだ。
それにしても、

「どうして父さんが隼人の連絡先を知っているの?」
「創介に聞いたらしい。って、そこはどうでもいいんだ。今問題なのは、桃が連絡せずにここへ来たってことだろ?」
「いや、したわよ。母さんに電話して友達の家に行くって言ったわ」
「それでも高井社長は納得していらっしゃらない」
「そんな・・・」

私のことを愛してくれているからこそ心配もするのだと理解はしている。
ありがたいことだとも思っているけれど、今日は隼人に話がしたかった。
この先私たちはどうするのか、きちんと話がしたかったのに・・・

「今日はこのまま送って行くよ」
私の返事など待つことなく、隼人は立ち上がった。

父さんから直接連絡を受けた隼人からすれば当然の反応かもしれない。
でも、私は動かなかい。
< 148 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop