隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
その後、私と指導係の先輩は別室に呼ばれことの経緯を説明させられた。
谷口主任もその場に同席していた。

きっとまた怒られるのだろうなと思いながら、私はラウンジの責任者である課長の前に立った。
しかし、

「君は高井さんが一人でオーダーを聞いてこられると判断したのか?」
不思議なことに、課長の言葉は私ではなく先輩を責めている。

「お客様の注文を聞くくらいのことは、高校生のバイトでもできる仕事です」

当然、先輩は私に責任があると言いたいのだろう。
確かに、飲み物の注文1つ満足に聞けない私が無能すぎるのだと思う。

「しかし、こうしてトラブルになったのは事実だ」
「それは・・・」
課長に言われ、先輩が悔しそうに下を向いた。

今回のことに関して先輩に責任がないというつもりは無いけれど、まず責められるべきは私のはずだ。
しかし、まだ入社したばかりの新人だからなのか、縁故入社で入って来た人間だからなのか、理由はわからないが課長は私に注意をしようとはしなかった。
それからしばらく、先輩は悔しそうにうつむき、課長は困ったように腕を組んで座ったまま。私は居場所がなくて小さくなっていた。
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