隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
妊娠と退職
再び数日間の有休をとった後職場復帰はしたものの、体調のすっきりしない私は当面の間1日5時間のフレックス勤務にしてもらった。
仕事のサポートもベテラン秘書の明子先輩が入ってくれて、何とかお兄ちゃんの仕事も回っている。
「桃、無理するんじゃないぞ」
「もー、大丈夫だから」
毎日のように体調を気遣ってくれるお兄ちゃんにありがたいと思いながらも、素直に感謝できない私がいる。
「はぁー」
自席に戻り、私は手帳の間に忍ばせていた紙を取り出してため息をついた。
私の気持ちが晴れない理由それは、今手に持った白黒のエコー写真。
映っているのは小さくて丸い物体。
「高井さん、まだいたんですか?もう時間ですよね」
私の退社時間になり、川村唯が社長室に顔を出した。
「今帰るところよ。今日は川村さんが入ってくれるの?」
私がいない間の社長秘書は明子先輩と川村唯。
最近ではその体制が定着しつつある。
「明子先輩は別の打ち合わせがあるので、今日は私が入ります」
「そう、悪いわね」
あんなに川村唯のことを嫌っていたのに自分が助けてもらう立場になると強いことも言えず、頭を下げることも多くなった。
そのせいなのか、体調の悪い私に同情したのか、川村唯自身の態度も幾分軟化したように感じる。
おかげで最近では対立することもなく穏やかに業務ができるようになった。
「それじゃあ、お先に失礼します」
「お疲れさまでした」
川村唯に見送られ、私は社長室を後にした。
仕事のサポートもベテラン秘書の明子先輩が入ってくれて、何とかお兄ちゃんの仕事も回っている。
「桃、無理するんじゃないぞ」
「もー、大丈夫だから」
毎日のように体調を気遣ってくれるお兄ちゃんにありがたいと思いながらも、素直に感謝できない私がいる。
「はぁー」
自席に戻り、私は手帳の間に忍ばせていた紙を取り出してため息をついた。
私の気持ちが晴れない理由それは、今手に持った白黒のエコー写真。
映っているのは小さくて丸い物体。
「高井さん、まだいたんですか?もう時間ですよね」
私の退社時間になり、川村唯が社長室に顔を出した。
「今帰るところよ。今日は川村さんが入ってくれるの?」
私がいない間の社長秘書は明子先輩と川村唯。
最近ではその体制が定着しつつある。
「明子先輩は別の打ち合わせがあるので、今日は私が入ります」
「そう、悪いわね」
あんなに川村唯のことを嫌っていたのに自分が助けてもらう立場になると強いことも言えず、頭を下げることも多くなった。
そのせいなのか、体調の悪い私に同情したのか、川村唯自身の態度も幾分軟化したように感じる。
おかげで最近では対立することもなく穏やかに業務ができるようになった。
「それじゃあ、お先に失礼します」
「お疲れさまでした」
川村唯に見送られ、私は社長室を後にした。