隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「うーん、赤ちゃんは順調ね」
「そうですか、ありがとうございます」

ホッ、よかった。
ここの所あまり食べられないでいるから、ちゃんと育っているのか心配だった。

「それで、考えはまとまったの?」
「え、ええ」

先日の体調不良から生理が来ていないことに気づき市販の妊娠検査薬で妊娠を確信した私は、完全予約制でプライベート診療をうたっているこのクリニックを見つけて診察を受けた。
結果はその時点で妊娠3ヶ月。
一通りの検査をしてもらい、この先のことを決めるために十日間ほどの時間をもらった。
そして、予約をしてやってきたのが今日。

「結論を聞かせてもらえる?」
「私、産みたいです」

私自身が奇跡のように与えられた命だからこそ、おなかに宿った命を絶つことは考えられなかった。

「パートナーには伝えたの?」
「いいえ」
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