隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「言ったはずよね。お腹の赤ちゃんは別の人格で、あなたの所有物ではないの。もし特別な事情があって話せないのならしかたないけれど、お互いに同意のもと愛し合った結果だとしたらお父さんにも知る権利があるわ」
「それは、わかっています」
「たとえあなたが一人で育てるにしたって話はしなくちゃ」
「そう、ですね」

DVなどの犯罪がからむ妊娠でも、誰にも言えないような不倫関係でもない私と隼人の間にできた赤ちゃんの存在を、なぜ隠したいのかと先生は不思議に思っているのだろう。
分かってはいるけれど・・・私は隼人に話せないまま今日を迎えてしまった。

「決断をするならもうギリギリなのよ」
「はい」
それもよくわかっている。

「それに、どこか地方で出産したいって言っていたでしょ?そのための紹介状を書くにしたってこのままでは書けないわ」
「・・・わかりました」
どうやら隼人と話をするしかないらしい。
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