隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
妊娠がわかり、出産すると決めた時点で、私は高井の家を出る覚悟をしていた。
私が妊娠したことが知れ、どうしても隼人と一緒になりたいと言えば結婚だって認めてもらえるかもしれない。
生真面目な隼人のことだから責任を感じて結婚すると言うような気もする。
でも、私はそんな責任感での結婚を望まないし、隼人が一条家に縛られるのを見たくもない。
だから誰にも言わずに逃げ出すことを決めた。
幸いなことに私には一条の両親が残してくれた遺産があり、国内でも海外でも子供と二人暮らしていくことに問題なはい。
だから、とりあえず国内の地方都市に身を隠し、出産しようと思っている。
そのための準備も進めていて、転居先の候補も数ヶ所に絞ったところだった。

「おなかの赤ちゃんのためにも両親で話し合い、答えがでたら受診にきてちょうだい。その時には紹介状を書きますからね」
「はい」

こうなったら隼人に話すしかなさそうだな。
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