隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「何で止めなかったんだと詰め寄られたよ」
「それは、すまなかった」

桃のことだから怒ったんだろうな。目に浮かぶよ。
良くも悪くも真っすぐで純粋。嘘をつかない代わりに自分の思いはストレートに口にする。
そんな裏表のない桃が俺は好きだ。
前向きで、あっけらかんとした性格にいつも救われてきた。
今の関係だって、創介や望愛さんにまで隠しておく必要はないと俺自身は思っていて、どちらかというと公表してしまいたい。
俺と桃が付き合っていることが公になれば田口優也のように桃に接近する男もいなくなる。
それは俺にとってメリットでしかないわけだが、桃にとっては素性が周囲に知られる可能性が高くなる。
だから、俺も踏み切れないでいる。

「今度謝っておくよ」

きっと文句を言われるのだろうが、ちゃんと話せばわかってくれるだろう。
ただ、その前に伝えておかないといけないことがあるんだが・・・

「いや、桃は怒ってはいなかったぞ。最初は文句を言っていたが、隼人にだって事情があるんだと話したら納得したようだった」
「へー、意外だな」
怒り狂うだろうと思ったのに。
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