隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
一条プリンスホテル社長室の大きな窓から差し込む日差しはすでに強い夏の日差しではなく、穏やかな秋の陽光。
今はブラインドも上がられて、遠くの高層ビルに反射した光がキラキラと輝いて美しい。
「なあ桃」
「ん、何?」
社長室に隣接する秘書室に置かれた小さなソファーに、私達は並んで座った。
お兄ちゃんは不在のため社長室へと続くドアは開け放たれ、窓越しに高層ビル群が見渡せる場所で私たちは久しぶりに2人きりになった。
「俺、ここを辞めるんだ」
とても静かに隼人が告白する。
「うん。随分急なのね」
始めて聞いたふりをして驚いて見せるのはわざとらしい気がして、素直に返事をした。
「怒っているか?」
「・・・いいえ」
寂しくて、悲しくて、心細い思いがあるのは事実。
でも、隼人には隼人の人生がある。
それに、私も隼人に大きな秘密を持っている。
「じゃあ何で、俺を避ける?」
「それは・・・」
私の中で隼人を納得させられる答えは見つからず、口を閉ざして視線を外した。
広い上に防音装備もされ、周囲からは何の音も聞こえない社長室。
じっとしていると隼人の息づかいまで聞こえてきそうな空間で、私は動揺を気づかれないように静かに息を整える。
今はブラインドも上がられて、遠くの高層ビルに反射した光がキラキラと輝いて美しい。
「なあ桃」
「ん、何?」
社長室に隣接する秘書室に置かれた小さなソファーに、私達は並んで座った。
お兄ちゃんは不在のため社長室へと続くドアは開け放たれ、窓越しに高層ビル群が見渡せる場所で私たちは久しぶりに2人きりになった。
「俺、ここを辞めるんだ」
とても静かに隼人が告白する。
「うん。随分急なのね」
始めて聞いたふりをして驚いて見せるのはわざとらしい気がして、素直に返事をした。
「怒っているか?」
「・・・いいえ」
寂しくて、悲しくて、心細い思いがあるのは事実。
でも、隼人には隼人の人生がある。
それに、私も隼人に大きな秘密を持っている。
「じゃあ何で、俺を避ける?」
「それは・・・」
私の中で隼人を納得させられる答えは見つからず、口を閉ざして視線を外した。
広い上に防音装備もされ、周囲からは何の音も聞こえない社長室。
じっとしていると隼人の息づかいまで聞こえてきそうな空間で、私は動揺を気づかれないように静かに息を整える。