隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「もういいわ。話は分かったから」
私はその場に立ちあがった。

「桃?」
なぜか寂しそうに隼人が首を傾げる。

「隼人の退職に私は反対するつもりは無いわ。隼人の人生だもの、私が何か言うようなことでもないでしょ。だから気にしないでちょうだい。」
「本当に?」
「ええ。それよりもうお昼休みも終わりだから、仕事に戻りましょう」

私としてはこの空間から離れたかった。
これ以上一緒にいたら言わなくてもいいことを言ってしまいそうで怖かった。

「そうだな、職場でこれ以上は話せないから、今度ゆっくりと話そう」
「そうね」
今度はないとわかっていても、私は笑って返事をした。

明日は終日社外での勤務が入っている隼人。
きっと私たちが会うのは今日が最後になるだろう。
そう思うと寂しさが急に込み上げてきた。
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