隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
お見合いから逃げ出した私が偶然出会い庭師と間違えて話をしたおじいさんは、国会議員の近藤代議士だった。
その後隼人と遭遇し、衝動的に泣きくずれてしまったところを隼人に抱えられた。
そして、隼人が近藤代議士の孫だったことを知り、今日は隼人と私のお見合いなのだと教えられた。

「桃は知っていたのか？」
腑に落ちない様子のまま、父さんが聞いてきた。

「いいえ」
知っていれば、逃げ出すことはしなかった。

「僕が黙っていましたので、彼女は何も知りませんでした」
困っている私に代わり、隼人が説明してくれる。

十畳以上はある広い和室に、両家が3人ずつと仲人さんご夫妻で計8人。
大人がこれだけ集まればにぎやかに盛り上がりそうなものなのに、室内の空気はわりと重い。

「私も孫の隼人と会うようになったのはここ数ヶ月のことでして、決して隠していたわけでも騙していたわけでもないのです」
申し訳ないと詫びる近藤代議士。

父さんもそれ以上何も言うことは無く、黙り込んだ。
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