隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「君は、ここで働く気があるのか?」
真剣な表情で聞かれ、私は言葉を飲み込んだ。

確かに、私は自分の意志で一条プリンスホテルに入社したのではない。
行けと言われて渋々やって来たのは事実だ。

「うちに入社すると決めたのは君自身だよな?」
「はい」

でも、父さんに勧められて他にやりたいこともなかったからうなずいただけ。
特別ホテルの仕事に興味があったわけでもない。

「自分では意識しなくても、不満な気持ちは相手に伝わるものだよ。特に君みたいに敵意丸出しで向かってこられたらゆったりくつろぐことなんてできない」
「そんな・・・」

無意識のうちに自分の不満を態度に出していたことにこの時初めて気付いた。
だから、指導担当の先輩も私には厳しかったんだ。
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