隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
これがハッピーエンド
「桃、しばらく家から出るんじゃない」
「・・・はい」
険しい顔で睨む父さんに言い返すこともできず、私はしょんぼりとうなだれる。

衝撃のお見合いの後、私は自分の部屋のベットに横になっていた。

お見合いの席で隼人とまさかの再会を果たし、諦めかけていた隼人との関係が再び復活することとなった。
隼人は家の事情もあって一条プリンスホテルを辞めることになるけれど、正式に私とも縁談も持ち上がりこのままでいけばすべてがハッピーエンドかと思われたのだが、最後の最後に私が妊娠していることを告白した瞬間場の空気が凍り付いた。

「桃、妊娠とはどういうことだっ」
部屋中に響いた父さんの絶叫。

「隼人、お前はなんてことをっ」
年齢の割のお元気な近藤のおじいさまは隼人の胸ぐらをつかみ上げた。

「とにかく、落ち着いてください」
「そうですよ、桃の話も聞いてやらないと」

母さんと隼人のお母様が父さんとおじいさまを必死に止めるけれど、室内は騒然としたまま。
その上始めて妊娠を知った隼人も放心状態でこの場を収拾する者がおらず、終いには大声を聞きつけたホテルのスタッフが部屋へと駆け込んできた。
最終的に仲人さんの仲裁のお陰でお見合いはお開きとなったが、私はそのまま自室へ軟禁となった。
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