隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
その後、望愛さんとお兄ちゃんと隼人と私の4人での食事をとり、半日かけて語り合った。

おじいさまから一条コンツェルンを引き継ぎ多くの肩書を背負うことになったお兄ちゃんはとっても忙しいはずなのに、上手の時間調整しながら育児にも参加しているらしい。
望愛さんがミルクの準備をする間も元太君をあやしたり、ミルクの後のゲップも上手にさせている。

「お兄ちゃんが人の世話をするのって、なんだか貴重な気がするわ」
皮肉ではなく素直な感想を口にした。

「そう?お風呂もおむつ替えも何でもやってくれるわよ」
「へー」
望愛さんは当たり前のように言うけれど、責任の重い仕事をしているお兄ちゃんにとっては結構すごいことだと思う。

「仕事をないがしろにするつもりはないが、今は家庭が一番だからな」
元太君を抱きながら言うお兄ちゃん。

「そうだな」
なぜか隼人も納得した顔。

きっと、隼人も同じように良いお父さんになるのかもしれない。
私はそんな思いでお兄ちゃんと元太君を見ていた。
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