隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
隼人の予告通り、日付が変わっても私たちは体を重ねていた。
何度か意識が飛びそうになるところを引き戻され、そのうちに自分でも訳が分からなくなって自然と涙が流れた。

「ごめんな」

頬に流れた涙を隼人が拭ってくれる。
放心状態だった私は隼人の背中に手を回した。
フッと鼻腔をくすぐるのは私と同じボディーソープの香り。
少し前にはシャワーを浴びたのだから当たり前だと思いながらも、そのことがなぜかうれしくて私はギュッと隼人を抱きしめた。

「今日は創介の社長就任パーティーだろ、寝なくて大丈夫か?」
「ええ、平気よ。顔だけ出してすぐに逃げ出すつもりだし」
「そうか」

自分が寝かせてくれなかったくせにと笑いそうになったけれど、今は黙っていよう。
私達の関係は大人な二人の自己責任。
色々と我が家の事情を知っている隼人もそれ以上余計なことを口にすることはせず、背中からそっと私を抱きしめた。

付き合っているわけでもない私たちの逢瀬は、いつも隼人のマンションでと決めている。
月に一度か二度、お互いの時間が合う時に愛し合い終わればいつもの日常に戻る。そんな生活がかれこれ一年続いている。
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