隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
隼人の指示通り私は午後から社長室での勤務となった。
社長であるお兄ちゃんもそのことに文句を言う様子はなく、即席で用意された優也さんの机と並んで社長秘書室での勤務が始まった。
「桃、もうすぐ企画部長が来るからこれを突き返しておいてくれ」
「はい」
ポンと机の上に投げられた書類は、冬のイベント用に作られた企画書のようだ。
一応手に取りパラパラとめくっては見たが、どれもパッとしない。
これではお兄ちゃんが突き返せって言うのもわからなくはないな。
「僕も見ていいですか?」
「ああ、かまわない」
お兄ちゃんの返事を聞いてから、優也さんも企画書に手を伸ばした。
「どこかで見覚えのあるものばかりで、目新しさにかけますね」
「ああ」
凄いな、さすが御曹司。
ビジネスセンスというか、物の良し悪しを見る力というか、そんなものはすでに備わっているらしい。
「優也だったらどうする?」
普段人に意見を聞くことなんてないお兄ちゃんが、優也さんに意見を求めている。
「そうですね、これはこれとして別に新しい企画をもう一つ出してくれって頼みます」
「ふーん」
なるほどね。それでいい方を使おうってことか。悪くない案だと思う。
「でも、きっとそれでは良いものは出てこないぞ」
「どうしてですか?」
「企画室はこれでいいと思って出してきているんだから、これ以上の努力をしようとは思わないだろうな」
「それは・・・」
優也さんは黙り込んでしまった。
社長であるお兄ちゃんもそのことに文句を言う様子はなく、即席で用意された優也さんの机と並んで社長秘書室での勤務が始まった。
「桃、もうすぐ企画部長が来るからこれを突き返しておいてくれ」
「はい」
ポンと机の上に投げられた書類は、冬のイベント用に作られた企画書のようだ。
一応手に取りパラパラとめくっては見たが、どれもパッとしない。
これではお兄ちゃんが突き返せって言うのもわからなくはないな。
「僕も見ていいですか?」
「ああ、かまわない」
お兄ちゃんの返事を聞いてから、優也さんも企画書に手を伸ばした。
「どこかで見覚えのあるものばかりで、目新しさにかけますね」
「ああ」
凄いな、さすが御曹司。
ビジネスセンスというか、物の良し悪しを見る力というか、そんなものはすでに備わっているらしい。
「優也だったらどうする?」
普段人に意見を聞くことなんてないお兄ちゃんが、優也さんに意見を求めている。
「そうですね、これはこれとして別に新しい企画をもう一つ出してくれって頼みます」
「ふーん」
なるほどね。それでいい方を使おうってことか。悪くない案だと思う。
「でも、きっとそれでは良いものは出てこないぞ」
「どうしてですか?」
「企画室はこれでいいと思って出してきているんだから、これ以上の努力をしようとは思わないだろうな」
「それは・・・」
優也さんは黙り込んでしまった。