隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「この間もデータが古くて作り直しになった報告書があったよね」
「・・・はい」

言い訳することもできずに、私はただうつむいた。
自分でも最近ミスが多いのは承知している。
その原因も、

「創介と望愛さんのことが気になるのか？」
「え？」
私は驚いて顔を上げた。

「お兄ちゃんをとられた気がする？」
「そんなことは・・・」

ない、と思う。
でも・・・

もちろん望愛さんのことは大好きだ。
望愛さんとお兄ちゃんが仲良くしてくれることも大歓迎のはずなのだが、最近の私はイライラしている。

「今まで自分が一番近くにいて誰よりも理解していると思っていたのに、急に突き放されたように気になったんだろう？」
「・・・」

私は心のうちを見透かされようで何も言えなくなり、それからしばらく続いた谷口課長の説教をただ黙って聞くことしかできなかった。
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