隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
ひたすら壁を上り、落ちてはまた登る。
そんな事を繰り返して2時間ほど過ごした。

「そろそろ帰ろうか?」
「え、ええ」

名残惜しいなっていうのが正直な気持ち。
出来ればもう少しここにいたかった。

「よかったらまた来よう」
「いいの?」

頂上まであと数メートル。
出来ればそこまで登ってみたい。

「近いうちに、一緒に来ようか?」
「はい」

それまでにウエアと靴を買おう。
ジムのレンタルも悪くないが、やっぱり自分の気に入ったものを着たい。
今までスポーツなんてしようと思ったことも無かったのに、とにかく今日は楽しかった。
だからかな、また来ようという隼人さんの誘いに素直に返事をした。

「そうだ、桃ちゃんに1つお願いがあるんだ」
「何でしょう?」
「創介には、黙っていてほしい」

えっとそれは、お兄ちゃんには知られたくないってことで、二人だけの秘密にしようってこと。

「わかりました」

隠し事ってあまりいい気分ではなかったけれど、隼人さんには隼人さんの立場があるのだろうと納得した
その日から私たちの関係は少しずつ変わっていった。
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