隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情

色々と不安はあるものの、美味しい食事をいただき楽しく時間を過ごした。
お見合いについては、『すでに出会っているから必要はない』と答えてくれるらしい。
もちろん、そのうちに『どうなんだ？』と答えを求められるだろうが、それまでは黙っていようということになった。

「桃さん、家まで送るよ」

食事を終えた優也さんが、私をエスコートしてくれる。
でも、私は店を出たところで足を止めた。

「ごめんなさい、私行きたいところがあるの。だから今日はここで」
「いいの？送るのに」
「いいのよ、ここからそう遠くない場所だから」
「わかった」

私は優也さんとレストランの前で別れ、駅へと向かった。