隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
マンションのロビーで文句を言い出した私を隼人がなだめながら、それでもなんとか最上階のフロアまでやって来た。

「いいから、ほら入って」

後ろから背中を押されて、私は玄関を入る。
そこは真っ白な大理石が敷き詰められた場所で、同じく白で統一された壁と奥へと続く廊下の先に木製の大きな扉があった。

「桃、こっちだよ」

私の数メートル前を行く隼人が、扉を開けて私を招き入れる。

「お邪魔し・・・うわぁー」

部屋に入った瞬間、私は大声をあげた。
目の前に広がるのは東京の夜景。
一体どれだけの広さがあるのだろうと思うほど広々した空間に、壁一面の窓。
そこからはきらめくような光も瞬きが降ってくる。

「凄い、凄い、凄すぎる」

私だって、今まで生きてくる中でそこそこの贅沢はさせてもらってきたつもりだ。
仕事柄良いホテルの泊まることもあるし、周りの友人たちも結構高級なマンションに住んでいたりする。
それでもここは規格外だ。
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