隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
しばらくリビングで夜景を堪能した後、私達はシャワーを浴びてからベットに入った。

想像通りというか、やはりというか、高級マンションのベッドルームは凄かった、
ベッドは大きなキングサイズだし、部屋のインテリアもロマンティックで、リビング同様大きな窓からは都会の夜景が一望できる。

「本当に素敵ね」

タワマンの高層階にある部屋を高額を払ってまで購入する人たちを見て、「何が良いのかしら」と思っていたけれど、やはりこの景色は素晴らしい。
きっと夜景だけではなくて、朝日も夕暮れも雨に濡れる都心も綺麗なことだろう。

「桃も、こんな所に住みたいと思うのか?」
「そりゃあ素敵だなとは思うわよ」

私だって綺麗なものを見れば心奪われるし、その迫力に感動することもある。
ただしそれが日常になると、話は違うけれど。

「桃が望むならここに住もうか?」
「もう、何バカなことを言っているのよ」

冗談にしても笑えない。
ここはどこかの国の王子様か、アラブの石油王、もしくは国レベルのセレブの住まう場所。
もちろんお兄ちゃんがここに住むって言えば納得できなくもないけれど、お兄ちゃんも望愛さんもこういうところを望むようには見えない。

「俺は本気だよ」
「隼人?」
どうしたんだろう、隼人らしくもない。

今まさに私を組み敷こうとする隼人を見上げながら、「何があったの?」と聞こうとした。
しかし、
「でも、今はこっちに集中して」
襲いかかるような口づけが降ってきて、口も思考も閉ざされてしまった。
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