隠れお嬢様と敏腕上司の㊙恋愛事情
「一体誰がそんなこと言ったんだ？」
「お兄ちゃんよ。隼人は学生時代にモテていて、彼女がいなかった時期は無かったって聞いたわ」

ったく創介の奴、余計なことを言ってくれる。
俺は創介のように上手に断ることができなから女の子の友人も多かったが、実際付き合った人数はそう多くはないし、告白された数だって創介の半分以下だと思う。
わざわざ桃に言い訳しようとは思わないが、自分のことを棚に上げて創介も言ってくれたものだ。

「とにかく、今は俺の話じゃなくて優也の話だろ」
「そうだったわね」

多少なりと田口優也って人物を知っている俺から見ると、あいつの行動には含みがあるように思う。
その行動が一条家との縁談を前提としたものなのか、桃自身に興味があるのかはわからないが、このまま縁談の話が進めば桃は身動きが取れなくなるだろう。

「お前が優也と結婚する気があるなら止めないが、そうじゃないなら曖昧な態度はとらない方がいい。自分で自分の首を絞めることになるぞ」
「うん。・・・わかったわ」

なぜかとても不満そうに、桃は返事をした。
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