年下彼氏の恋愛事情。【LOVEドロップス参加作品】
驚くのも無理はない。
だって会う約束もしてない人間が、自分の部屋の前に立ってるんだから……。
「和華ちゃん、どうしたの?」
いつもと変わらぬ優しい声でそう問いかけてくる疾風を見たら、急に視界がぼやけはじめた。
開きかけた唇がふるふると微かに震える。
……バカ、何泣いてるのよ和華。
ほら、言うんでしょ?
『会いたくなったから来ちゃった』って。
言うんでしょ――……?
でも。
「疾風……」
やっとの思いで愛しい人の名前を呼んだあたしの視線は、一点に固定されていた。
疾風の隣に並ぶ、彼女に――……。