琥珀色の砂時計
 わたし……ギリシャリクガメに転生したんだね。

 少しばかりホッと胸を撫で下ろす。もしもこはくと同じケヅメリクガメであったなら、あのママの言う通り、とてつもなく大きくなって数年で売り飛ばされてしまうだろう。

 でもギリシャリクガメであるのなら、大して大きくならないもの、きっとずっと一緒にいられる! まさか逆の立場で生まれ変わるなんて思いもよらなかったけれど、わたしの願いは叶ったんだ。これからわたしはこはくと共に──

 ああ~でもわたしってきっと『メス』よね!? ギリシャのメスはそれなりに大きくなるんじゃなかったかしら? 確か二キロ程度には……あのカメ好きでなさそうなママの許容範囲は、一体どれ位の重さと大きさなのかしら??

「めのちゃ~ん、ご飯だよ! ほら、沢山食べて大きくなってね!!」

 青菜らしき緑を握り締めて、勢い勇んで戻ってきたこはくは、早速水槽の上からわたしの前に美味しそうな『ご飯』を置いてくれた。

 こはく……わたしはとっても嬉しいけれど、この差し出された野菜をガツガツ食べて、あなたのママの機嫌を損ねたりしないかしら……?


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