琥珀色の砂時計
「実際ダンプがぶつかったのは、あなたでなくてこはくの甲羅だったのだそうよ。それからあなたは跳ね飛ばされてしまったけれど、その時も甲羅があなたの背中を支えて、地面に叩きつけられるのを防いでくれたそう……だから。こはくはきっと天国で、ずっとあなたを見守ってくれているのよ。その身はなくてもあなたの傍にいてくれているの」

 事故で死んだこと、天国でこはくと再会したこと、来世に逆転して生まれ変わったこと……全ては気を失っている間の夢だったのだろうか? ううん、夢じゃない……こはくが一緒に転生したいと願ってくれたのも、来世でわたしを可愛がってくれたのも、きっと本当の気持ちだった。

「ごめんね、母さん。わたし、これからはちゃんとする……こはくの、ためにも──」

 手の中のガラス瓶を見詰めて呟いたわたしの言葉に、母さんがどんな反応を示したのかは分からなかったけれど。その時胸の中を巡ったじんわりとした温かさは、わたしを取り巻く『家族』からの愛情だったと思う。

 ありがとう、こはく。

 もらった想い出を心に抱いて、一歩一歩着実に歩いていくよ。



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