琥珀色の砂時計

[4]

 暖かい……。

 わたしは背中に感じるとろけるような温かみに、ふとまどろみから目を覚ました。

 えっと……どういうことになったのだっけ? 確かわたしは何故だか死んでしまって、天国のこはくと再会して、エンマ様に来世に飛ばしてもらって……って、前世の記憶も残ってる!!

 あ、でも……こはくは? こはくはどこ!?

 まだぼんやりとおぼつかないわたしの掌に、それでも繋いでいた筈の『脚』の感覚はなかった。

 『この世』に生まれ変わるまでに、わたしは手を放してしまったんだろうか? どうしよう、こはく……どこに生まれ変わったの!?

 いや、その前にわたしの居場所を突き止めなくちゃ。わたしは薄ぼけた視界に目を凝らした。見える物は茶色い地面。その上にうつぶせになっているみたい。上から注ぐこの温かい熱の素は何だろう? 太陽の光なんだろうか??

「あ、見てママ! 目を覚ましたよ!!」

 その時わたしの鼻先から、嬉しそうな子供の声が聞こえた。ママ? 一体誰だろう??

「まったくパパったら~いくらこの子が喜ぶからって、こんなモノを買ってくるなんて……」

「こんなモノってなんだよーママ! ボクがもらったお誕生日プレゼントなんだぞ! これからボクがちゃーんと育てるから、ママは心配しなくて大丈夫だから!!」

 買ってきた、誕生日プレゼント、こんな……モノ……?

 徐々に機能する瞳の中に、少年の笑顔が映り込む。これってテレビの画像か何かかな? 子供なのに随分大きく見えるもの。


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