10年ぶりの同窓会で再会した彼は次期社長のようです
お願い

「ねえ、あっちゃん……お願い!!」

あっちゃんとは私、下田敦美(しもだあつみ)

私の前に着物を着て正座をし、三つ指を立てて頭を下げているのは従姉のみづほ姉ちゃん

「みづほ姉ちゃん、頭をあげてよ」

旅館の仲居の着物を着て正座してみづほ姉ちゃんの前に座っている敦美

「夏休みの間、私の代わりに若女将をやって欲しいの」

「若女将?無理無理、みづほ姉ちゃんはその間は何するの?」

「たっくんの手術が決まったの、だから東京に1ヶ月くらい行く事になるのよ、主人とも話し合ってて……」

「あー……」


みづほ姉ちゃんの息子のたっくんは心臓の病気が見つかり手術が必要と聞いていた。

どうやら夏休みに入ってすぐ東京の病院に行き、検査入院とその後の手術に備えると言うことだった。

みづほ姉ちゃんにはたっくんの上にみゆちゃんていうお姉ちゃんがいる。

ご主人は東京の人でみづほ姉ちゃんが下田旅館を継ぐために養子に入ってくれた優しい人だ。


主に旅館では経理担当の仕事をしている。

みづほ姉ちゃんが言うには家族4人で東京のご主人の実家でお世話になるらしい。


まあ、それはいいとして私に若女将は無理だよー。


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