10年ぶりの同窓会で再会した彼は次期社長のようです

〝昨日はごめん、会いたい〟

〝もう少ししたら家に帰るけど、仕事でしょ?〟

〝今終わってこれから夏海さんを駅まで送る〟

〝わかった、とりあえず帰って着替えるわ〟



〝泊まれるなら準備しといてほしい〟


泊まり……敦美は返信が出来なかった。


「ただいま」

「おかえり〜」

「あの、今日夕食いらない、ごめん急で」

「うん、出かけるの?」

「うん……あの明日休みだから泊まっていいかな」

「それは彼氏の家ってこと?」

「家じゃないんだけど……少し前から彼氏はいて……遠距離で……明日までこっちにいるの」

「最後の夜ってことね」


コクンと頷いた。

「まあ、この間からなんとなくはわかってはいたのよねー、まあ仕方ないわね」

「ごめん」




自分の部屋に戻ると帰ったよと土屋くんに連絡した。

〝あと10分ほどでつく〟

返信が来ると急いで明日の着替えを詰め、家を出た。

今日は黒いセダンの車だった。

「おまたせ」

「いや」

ん?車から香水の匂いがする。


夏海さんかな……


無意識に手で鼻を押さえていた。

「匂う?」

「香水かな、夏海さんの?」

土屋は車の窓を開けた。

「いや、俺……今日ちょっとキツめにつけてて」

「そうなんだ、でも大丈夫よ」
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