10年ぶりの同窓会で再会した彼は次期社長のようです
「いただきます……んっ?」
「どうした、敦美」
「この煮物……うちの旅館の味と似てる、お野菜の切り方も」
「うちの旅館とは君は旅館の娘なのか?」
土屋くんのお父さんに話しかけられた。
「あっ、いえ、えーと父の実家がこの先の下田旅館です」
「うむ、たいした舌を持ってるな、下田旅館の今の料理長は元々はここの料理人だったんだ」
「そうだったんですね、どおりで美味しいはず(笑)」
「敦美も下田旅館を手伝ってるんだよ」
「ほう、継ぐのかい?」
「いえ、従姉が養子をもらって今は若女将で後を継いでます」
それなら何も問題はないなと独り言を言っていた。
「敬大はまだ跡継ぎとしてはまだまだだがもし跡継ぎじゃなくても敦美さんは敬大と一緒にいたいと思うかい?」
「それは……昨日知ったばかりなので跡継ぎとかは関係なくお付き合いしてましたので、むしろ私の方が申し訳なくて、土屋くんが全部出してくれるから私も払うってケンカになりそうになったり……あっ、言わない方がよかった?」
土屋くんを思わず見た。
「そうか……私はまあ別に鈴村くんの娘さんを勧めていたわけじゃないよ、そこは敦美さんに言っておく」
「……はい」