10年ぶりの同窓会で再会した彼は次期社長のようです
「ん?あっちゃん、急にどうしたの」
負けず嫌い関係あるの?と加奈ちゃんに言われる。
「スポーツやってんだからそれはしょうがないよ」
谷口くんは変なフォローはいるし……
つまり、何が言いたいか……
「だから土屋くんにも負けたくないの、優しくされるばかりじゃ嫌なの、全部奢られるのも、向こうだけ帰ってくるのも」
「なるほど、スイッチが入っちゃったんだ」
「あっちゃん、恋愛って勝負じゃないんだよ(笑)やられたらやり返すみたいになってんじゃん」
「あ……そうだね、私ったら」
「まあ、下田は敬大に何か返したいってことだろ?」
「そう、谷口くん、凄い」
「でも将来の事を考えるんなら敬大の生活には慣れなきゃいけない、社長夫人だぜ」
「金持ちだもんね」
「だから本村が言うなよ(笑)」
「そこまで気負う事ないよ、あっちゃん!」
「そう?」
「そうそう、敬大に甘えとけばいいんだよ、男はそれで満足するんだから」
「甘えるのが苦手だからな〜」
「2人のペースでいいと思うよ、敬大は今1番浮かれてるだろうし(笑)」
入り口のドアが開いた。
「いらっしゃいませ」
朋絵ちゃんが入ってきた。
「暇だから毎日くるんだ」
小さな声で谷口くんは私達に呟いた。