10年ぶりの同窓会で再会した彼は次期社長のようです
「僕も手伝います」
大和くんが言ってくれた。
「大和は明日の朝の仕込みがあるだろ」
調理場の先輩が言う。
「でも、若女将が2人分運ぶのは大変ですよ」
「お父さんが運ぶよ」
「でも、今日は朝から手伝ってもらってるので」
「大丈夫だよ、仕事は休みだし、敦美が車で来てないから泊まって朝に連れて帰るよ」
「ありがとう、お父さん」
「いやいや、たまにだから気にしないで」
21時になり夕食を運ぶ時間になった。
「失礼します、夕食でございます」
はーいと女性の声が聞こえた。
部屋には女性一人しかいなくて、もう一度料理を運ぶと奥から男性が出てきた。
「夏海(なつみ)さん、ご飯はいいって言ったはずですよ、こんな遅くに迷惑です、HOTELじゃないんですから」
浴衣を着た男性がテーブルに座った。
この声……土屋くん
「でも出来るって言ってくれたから、だってここの料理、ネットで評判よかったから食べて欲しくて」
「料理の説明をさせていただきます……」
「しも……」
「本日の…………」
土屋くんの言葉を遮ってしまって料理の説明を始めてしまった。
自分が何を話したのか全く記憶がない。
料理の説明はちゃんと出来たかな