10年ぶりの同窓会で再会した彼は次期社長のようです

「大丈夫よ、キャンセルのお料理が無駄にならなくて良かったわ、あとこれ……」

封筒を渡した。

「何?」

「同窓会のお金、何で私の会費を払ってたの?」

「……何でだろ、清志(きよし)と話してたら何故か?」

「そんなの変だよ(笑)ビックリしたからね」

「うん、ごめん」

土屋くんは封筒を受け取ってくれた。

「あのさ……いつが休み?」

「私ね、今若女将の代理なんだよね、ここ親戚の旅館でね」

とりあえず夏休みはダメと言うことを伝えた。

「俺……今東京にいるんだ」

「東京……そう」

少し遠いな……

「これからチョクチョクこっちで仕事があって、帰ってくるから会って欲しいんだけど」

「私?谷口くんじゃなくて(笑)?」

「ううん、下田がいい……9月になったら連絡してもいい……かな?」

「うん……わかった」

「じゃあ帰る、仕事中ごめんな、今日楽しかった、また」

土屋くんは靴を履こうとしていた。

「あっ、土屋くん?」

「ん?」

「どうやって帰るの?」

「あっ…ごめん、タクシー呼んでくれる?」

真っ赤になって戻ってきた。

「(笑)はい、呼ぶね」

「恥ずい……」

「お酒呑んだ?」

「少し……日本酒美味かった」
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