10年ぶりの同窓会で再会した彼は次期社長のようです
「タクシーで帰っても私はいいよ」
「じゃあ、少しだけ付き合うかな」
料理も運ばれて初めてのワインを呑む。
「美味しいー」
「呑めそう?」
「うん(笑)マナーとか全然知らなくて恥ずかしい」
「個室だから気にしないでいいよ、なんならお箸にかえても」
「それは大丈夫、ありがとう」
ホールのお客さんも2組はいた。
貸切かと思ったけど、少し安心した。
「土屋くんはカレンダー通りの休みなの?」
「今はそうだけど、異動になるとその部署の仕事内容で多分変わるかな」
「転勤とかってこと?」
「まあ、それもある、俺、院に行ったから今年新入社員なんだよ」
「へぇ、賢い、凄い」
土屋くんの顔が笑顔になった。
「ん?」
モグモグしながら土屋くんを不思議そうに見る。
「下田って凄いってよく使うよな」
「そう?気づかなかった」
「褒められてんのかなっていい気分になる、嬉しい」
「全然わかんなかった、でも凄いと思ったから言ってると思うよ(笑)」
「ありがとう、この後さ、上の階にBARがあるから行こう」
「凄い、BAR?あっ…本当だ使ってる(笑)」
「なっ(笑)」
ふふふっ、個室だけど大きな声では笑えないから口に手を当てて笑った。