10年ぶりの同窓会で再会した彼は次期社長のようです

少し意地悪を言ってみたのだ。

「ごめん」

素直に謝ってくれたので、いつも絶対グラタンを頼むのと言っておいた。

「いただきます……んっ、凄い美味しい」

「だろ(笑)」

フーフーしながらあっという間に平らげる。

「ご馳走様でした」

両手を合わせた。

「ここさ、色々メニューあるからまた来ような」

「うん、グラタンもまた食べたい」

「出ようか」

「うん、あれ伝票がないよ」

「ここはいいんだよ」

「だめだよ、ちゃんと私出すから」

「まあ、言うと思ったけど」

「じゃあ、600円いただきます」

お店の人には敦美のグラタン分しか言われなかった。

「え?」

にっこり店の人は笑ってくれる。

ほら、戻るよと手を繋がれて店を出た。

「今日の家族との食事、ここなんだよ、だから一緒にしてって言ってあったのに」

「え?」

「ここは姉貴の旦那さんの店」

「またびっくりしたよ」

「帰るよ(笑)」

「うん」



駐車場につくとあと10分くらいは話せる時間だった。

「今日会えて良かった、ずっと昨日の事を悪いと思っていて……」

「謝ってくれたからいいよ」

「ありがとう、明日仕事が早く終わったら連絡するな」

「うん、じゃあね」

グラタン美味しかったなぁ……

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