新くんはファーストキスを奪いたい
05. 美化委員始動
委員会を放課後に控えた月曜日がやってきてしまった。
先週の金曜日のうちに、一年の美化委員全員に初回委員会のお知らせを済ませることができた鞠は、
佐渡から突如受けることになった指示を全うする。
しかしこの日は、同じ教室にいるにもかかわらず、新と話すことも目が合うこともなく。
あのメッセージに対する返信を、未だにしていないから怒っているかもしれないと鞠は感じていた。
そんな雰囲気の良くない二人が、本日の放課後に揃って委員会へ参加する。
「はぁ……」
帰りのSHRの時間を迎える直前。
委員会への参加に不安を覚える鞠が大きなため息をついた時、後ろの席に座る恭平がこそっと話しかけていた。
「鞠ちゃん、俺来週からバイト開始なんだー」
「え、おめでと! 私も今日は初委員会なの」
「じゃあ新と参加するんだ」
「そう、だね……」
そう返事をして微笑むが、恭平には先週の金曜日から鞠の元気がないように見えていて。
少し心配そうな表情を浮かべた。
一方の鞠も、恭平と仲良くすることが新を不機嫌にさせると思い。
先週のような気さくな会話ができず、ぎこちなさを自覚していた。
(新くんは何に妬いてるって言うのよ……)
誰と仲良くしようと鞠の勝手であり、新に指図される覚えはないと反発心もあるが、
悲しませることもしたくないから、と自分の取るべき行動に悩んでしまう。