どきどきしちゃうっ!! となりのめっちゃ☆塩対応男子な相澤くん!!
第19話 塩対応男子はめちゃカワ彼女を溺愛す?
ううううっ、これは私にとって大事件だよ〜!
そんなのってないよ、ひどいよ〜。
相澤くん越しに見る窓の外の景色……、この光景にも慣れてきたころ、席替えがやってくるという悲報が訪れた。
「ああっ? なにお前、……もしかして泣いてんの」
「だ、だって! 先生が夏休み前に席替えするとか言ってたもん」
相澤くんがびっくりした顔で私を見たあと、大笑いした。
「ばあか。席替えぐらいで泣くやつがいるかよ。大したことねえじゃんか。びっくりすんだよ、お前が泣くとなんかあったかと心配すんだろうが」
「相澤くーん。……だって私、私の席が相澤くんの横じゃなくなっちゃうんだよ」
「まだ決まったわけじゃねえし。べつに席が離れたって、俺たちが別れて離れ離れになるわけじゃないんだ」
相澤くんと私は学級委員の集まりが終わって教室に戻って来ていた。
他の生徒達はとっくに帰ってしまっていて、教室には二人きり。
「私、相澤くんと席が離れるの寂しいよ」
「……ありがと。うーん、本当は俺も寂しいとか言っても良いのか?」
相澤くんが椅子から立ち上がって、私のすぐ横に来て、優しく頭を撫でてくれた。
私はそれだけでぽーっとなってしまい、言葉が続かない。
無理に出てこなくってもいいかもだけど、相澤くんの質問には返さないと……。
「弱気な発言をする相澤くんも好きだよ。だって、相澤くんの本音を知れるもん」
「……咲希」
相澤くんの手が伸びてきて、私の頬に触れた。
「咲希……すごく好きだ」
「あっ、……んっ」
相澤くんが好きって言ってくれたから「私も!」って返そうと思ったのに。
私の唇に、相澤くんの唇がそっと重なる。
ふにっと柔らかくって、相澤くんの体温を熱を感じる。
私は相澤くんの優しいキスで心は支配され、頭がほわーんとぼんやり思考が奪われてうっとりしてしまう。
相澤くんと私は見つめ合っていた。
熱っぽく潤んだ瞳が綺麗だな、相澤くんって。
その時っ――!
突然、声を掛けられた。
「きゃーっ! 塩対応男子がめちゃカワ彼女を溺愛してるわ〜!」
「「えっ!?」」
私と相澤くんが驚いて声がする方、教室のドアを急いで見ると……。
「瀬戸、てめえ、覗き見すんなよなっ!」
教室の入り口には瀬戸くんと綾菜ちゃんがニコニコほほえみながら立っていた。
相澤くんが追いかけると、瀬戸くんが廊下の方へ逃げ出していく。
「「ちょっと! 二人とも廊下は走っちゃ駄目だからね」」
私と綾菜ちゃんの声がばっちりハモってた。
二人同時に、相澤くんと瀬戸くんを注意するっておかしくって。
私は綾菜ちゃんと顔を合わせて笑っていた。
🌻🍧🎋
夏休みが近づいてくる。
私は相澤くんと一緒にうちの本屋さんでのアルバイトを励みながら、休みの日には海とか行こうって話してる。
一緒に勉強もしようねって……。
「一緒に」が言われると嬉しくって。
咲希、一緒に遊ぼう。相澤くん、一緒に行こう、お出かけしよう。咲希、一緒に勉強しような……。
「咲希、将来の夢とかあるの?」
「私ね、本の世界とか学んだり、うちの本屋さんの経営とかちゃんと継げるようになりたいんだ……。それから、お料理も勉強したい。ゆくゆくはここをブックカフェにしても面白いかなって……」
相澤くんが驚いた顔をした。
「咲希の夢が俺の夢と近くってびっくりした。同じ方向を描いてんのかもな俺たち」
「ええっ! そうなの? 相澤くんと似てるんだ」
「料理は入ってなかったけど。お前の夢と将来に俺も参加させてくれる? 全部じゃなくっていい。……俺も。俺も咲希とできれば一緒に、ここを、神楽書店をずっと残していきたい」
陸斗兄がさっきまで座っていた、レジカウンター前に相澤くんが座る。
時々、陸斗兄が店番がてら勉強させてとやってくる。
ここのところ、頻繁に……。
うちの本屋さんが本に囲まれて落ち着くんだって。
相澤くんと二人で肩を並べて、椅子に座ってる。
店内を見渡すと、常連のお客さんが時に楽しそうに、時には真剣に本を見つめている。
「あの人もさ……。陸斗先輩も夢に向かって頑張ってるから俺も負けてらんねえな」
「そうだね。私も頑張ろう。……ありがとう、相澤くん」
「な、なんで、礼なんか言ってんだよ。照れるだろ」
「可愛〜い、相澤くんって」
「可愛い言うな。咲希に、好きなやつに、俺は男だから可愛いとか言われても嬉しくねえんだけど」
「だってぇ、可愛いんだもん。……むぐっ!」
相澤くんに私の唇が、ぎゅむっとつままれた。
「お前のほうが何千倍も可愛い」
「ふえっ……!?」
今年の夏休みは、いつもよりもっともっと楽しくなりそうです。
私のとなりの席に相澤くんがいる。
もし、学校でとなりの席ではなくなっても、こうして私は相澤くんと隣同士だね。
どうやら私は、無愛想な塩対応男子に溺愛されてしまったようです。
おしまい♪
そんなのってないよ、ひどいよ〜。
相澤くん越しに見る窓の外の景色……、この光景にも慣れてきたころ、席替えがやってくるという悲報が訪れた。
「ああっ? なにお前、……もしかして泣いてんの」
「だ、だって! 先生が夏休み前に席替えするとか言ってたもん」
相澤くんがびっくりした顔で私を見たあと、大笑いした。
「ばあか。席替えぐらいで泣くやつがいるかよ。大したことねえじゃんか。びっくりすんだよ、お前が泣くとなんかあったかと心配すんだろうが」
「相澤くーん。……だって私、私の席が相澤くんの横じゃなくなっちゃうんだよ」
「まだ決まったわけじゃねえし。べつに席が離れたって、俺たちが別れて離れ離れになるわけじゃないんだ」
相澤くんと私は学級委員の集まりが終わって教室に戻って来ていた。
他の生徒達はとっくに帰ってしまっていて、教室には二人きり。
「私、相澤くんと席が離れるの寂しいよ」
「……ありがと。うーん、本当は俺も寂しいとか言っても良いのか?」
相澤くんが椅子から立ち上がって、私のすぐ横に来て、優しく頭を撫でてくれた。
私はそれだけでぽーっとなってしまい、言葉が続かない。
無理に出てこなくってもいいかもだけど、相澤くんの質問には返さないと……。
「弱気な発言をする相澤くんも好きだよ。だって、相澤くんの本音を知れるもん」
「……咲希」
相澤くんの手が伸びてきて、私の頬に触れた。
「咲希……すごく好きだ」
「あっ、……んっ」
相澤くんが好きって言ってくれたから「私も!」って返そうと思ったのに。
私の唇に、相澤くんの唇がそっと重なる。
ふにっと柔らかくって、相澤くんの体温を熱を感じる。
私は相澤くんの優しいキスで心は支配され、頭がほわーんとぼんやり思考が奪われてうっとりしてしまう。
相澤くんと私は見つめ合っていた。
熱っぽく潤んだ瞳が綺麗だな、相澤くんって。
その時っ――!
突然、声を掛けられた。
「きゃーっ! 塩対応男子がめちゃカワ彼女を溺愛してるわ〜!」
「「えっ!?」」
私と相澤くんが驚いて声がする方、教室のドアを急いで見ると……。
「瀬戸、てめえ、覗き見すんなよなっ!」
教室の入り口には瀬戸くんと綾菜ちゃんがニコニコほほえみながら立っていた。
相澤くんが追いかけると、瀬戸くんが廊下の方へ逃げ出していく。
「「ちょっと! 二人とも廊下は走っちゃ駄目だからね」」
私と綾菜ちゃんの声がばっちりハモってた。
二人同時に、相澤くんと瀬戸くんを注意するっておかしくって。
私は綾菜ちゃんと顔を合わせて笑っていた。
🌻🍧🎋
夏休みが近づいてくる。
私は相澤くんと一緒にうちの本屋さんでのアルバイトを励みながら、休みの日には海とか行こうって話してる。
一緒に勉強もしようねって……。
「一緒に」が言われると嬉しくって。
咲希、一緒に遊ぼう。相澤くん、一緒に行こう、お出かけしよう。咲希、一緒に勉強しような……。
「咲希、将来の夢とかあるの?」
「私ね、本の世界とか学んだり、うちの本屋さんの経営とかちゃんと継げるようになりたいんだ……。それから、お料理も勉強したい。ゆくゆくはここをブックカフェにしても面白いかなって……」
相澤くんが驚いた顔をした。
「咲希の夢が俺の夢と近くってびっくりした。同じ方向を描いてんのかもな俺たち」
「ええっ! そうなの? 相澤くんと似てるんだ」
「料理は入ってなかったけど。お前の夢と将来に俺も参加させてくれる? 全部じゃなくっていい。……俺も。俺も咲希とできれば一緒に、ここを、神楽書店をずっと残していきたい」
陸斗兄がさっきまで座っていた、レジカウンター前に相澤くんが座る。
時々、陸斗兄が店番がてら勉強させてとやってくる。
ここのところ、頻繁に……。
うちの本屋さんが本に囲まれて落ち着くんだって。
相澤くんと二人で肩を並べて、椅子に座ってる。
店内を見渡すと、常連のお客さんが時に楽しそうに、時には真剣に本を見つめている。
「あの人もさ……。陸斗先輩も夢に向かって頑張ってるから俺も負けてらんねえな」
「そうだね。私も頑張ろう。……ありがとう、相澤くん」
「な、なんで、礼なんか言ってんだよ。照れるだろ」
「可愛〜い、相澤くんって」
「可愛い言うな。咲希に、好きなやつに、俺は男だから可愛いとか言われても嬉しくねえんだけど」
「だってぇ、可愛いんだもん。……むぐっ!」
相澤くんに私の唇が、ぎゅむっとつままれた。
「お前のほうが何千倍も可愛い」
「ふえっ……!?」
今年の夏休みは、いつもよりもっともっと楽しくなりそうです。
私のとなりの席に相澤くんがいる。
もし、学校でとなりの席ではなくなっても、こうして私は相澤くんと隣同士だね。
どうやら私は、無愛想な塩対応男子に溺愛されてしまったようです。
おしまい♪
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