世界くんのタカラモノ
公園に到着すると俺たちはまず、遊具を眺めながら砂場へと向かっていく。砂場につくと、俺は手に持っていたスーパーの袋を逆さまにした。出てきたお砂場セットに食いついた子供達はすぐにスコップ片手に砂遊びを始めた。

「パパー、お山作って」

「僕もー宇宙のとあわせて2個作ってー」

宇宙と銀河は一卵性双子のため、同じ顔をしているが、欲しがるモノもしてほしい事もほとんど同じだ。

(お山2個って……なんか並んでると卑猥な感じするの俺だけか?それともただの欲求不満か?)

「お、おう」

俺はさっと煩悩を振り払うと、言われたとおり砂をかき集めてお山の形になるよう盛っていく。

(はぁ……とりあえず留守番案件片したら早く梅子さん抱きたいな)


「わぁ。パパおっきいね」

「本当だー、宇宙、あとで綺麗な石でお山に飾り付けしよう」

「銀河それいいね」

俺がテキパキとお山を2つ作ると宇宙と銀河がそれを見てキャッキャッとはしゃぐ。俺は唇を引き上げた。

「見たか!パパ凄いだろ?あとで三人で写メとろうぜ。とりあえずお前らで飾り付け宜しくな」

「はーい」
「はーい」

「いこう、銀河」 
「うん」

俺は駆けていく子供達を見ながら額の汗を拭うと、ようやく砂場の端に腰掛けた。もってきたペットボトルの麦茶をゴクゴクと喉を鳴らして胃に流し込んでいく。

その時、人が近づいてくる気配がして俺が振り返ろうとすると、さきに聞き覚えのある声が頭上から降ってきた。

「これはこれは子犬くんが子犬連れかな?」
< 11 / 25 >

この作品をシェア

pagetop