世界くんのタカラモノ
「ママ、今からお友達と久しぶりにランチなの。宇宙も銀河もパパとお留守番できる?」

「えー、パパと?」 

宇宙がすぐに怪訝な顔をする。

「うん、いい?」

梅子の問いかけに銀河も眉を顰める。

「僕やだな」

宇宙に引き続き、銀河の返答を聞くと梅子がすぐに困った顔をした。そして俺は心の中で盛大に舌打ちをする。

「おい、お前ら!パパとおるすばんの何が嫌なんだよっ!飯だって美味いだろ!お馬さんごっこや暴れすぎ将軍ごっこだって付き合ってやってんだろうが」

宇宙と銀河が俺をじっと見上げた。

「パパのご飯も美味しいけど……俺ママが好き」

「僕もママのが……大好き」

梅子にまとわりつきながら我が子たちがそれぞれ梅子のほっぺたにキスを落とす。俺はぐっと掌を握った。

「こらこら、くすぐったいな」

梅子が嬉しそうにクスクス笑っている。

(俺からキスされて最近あんなに嬉しそうにしてくれたことあったかよ……)

梅子は母親になってからより綺麗になった。妻として母として、ひとりの働く女性としても俺の中では世界一だ。 

(マジでいい女だよな)

俺は改めて梅子をまじまじと眺めながらその左手の薬指に光る、お揃いの指輪に優越感を覚える。

(やば、今すぐ抱きたい……)
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