極甘悪魔な御曹司の溺愛は揺るがない【財閥御曹司シリーズ伊達家編】

　明らかに私の周囲にいる人間とは異質な空気を身に纏っていて、上質の男……という言葉がしっくりくる。よくいるチャラそうなナンパな男とは違った。
　こういう人は遊び方を知っていて、無理矢理女性を誘うことはないだろう。だから安心。
　まあ、そもそも私を相手にしようなんて男性はいないけど。子供っぽい顔だし、姉のように誰もが振り返る華やかさもない。
「振られたお祝いか。だからひとりでバーに？」
　男性はどこか心配そうに私を見て、質問を続ける。
　きっと私がこのバーで浮いているからに違いない。一匹毛並みの違う猫がいる……みたいな。私に声をかけたのは、ただの気まぐれなのだろう。
「家に帰りたくなかったんです。うさを晴らしたかったんですよ」
　なんだか急におかしくなって笑いが込み上げてくる。
　振られたお祝いをするなんて馬鹿げてるわよね。
　バーテンダーが新しいカクテルを私の前に置いたので、グラスを手に取った。