極甘悪魔な御曹司の溺愛は揺るがない【財閥御曹司シリーズ伊達家編】
「やっぱり綺麗。でも、私がまた飲んじゃうけど」
 グラスを眺めてフッと笑い、口に運ぼうとしたら、隣の男性に聞かれた。
「それ、何杯目だ?」
「三杯目です」
 即答する私を見て、彼は眉間にシワを寄せる。
「飲みすぎじゃないか? カクテルは結構アルコール度数が高い」
「まだ全然大丈夫です。早口言葉だって言えますよ。赤パジャマ黄パジャマ茶ジャジャマ……あれ?」
 いつもならスラスラ言えるのに、今日はつっかえた。
 調子が悪いのかな。
 首を傾げる私を見据え、彼が真顔でつっこむ。
「言えてないじゃないか」
「たまたまです。次は言えますよ。東京特許許可局許ぎゃぎょく……あれれ?」
 今度は違うフレーズを口にするが、また失敗して苦笑いした。
 そんな私を見て、彼が無表情で言う。
「やっぱり言えてない」
 彼の言葉に少しムッとして言い返した。
「だったら、あなたが言ってみてくださいよ。素面でだって言うの難しいんですよ」
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