極甘悪魔な御曹司の溺愛は揺るがない【財閥御曹司シリーズ伊達家編】
「あなたじゃなくて、颯人。君の名前は?」
 自然な流れで名前を聞かれ、なにも考えずに答える。
「愛音です。さあ、早口言葉言ってみてください」
 颯人さんをじっとりと見て要求するが、彼は早口言葉は言わず、表情を和らげて私の名前を褒めた。
「愛音か。綺麗な名前だな」
 とても甘い声でドキッとした。
 なんなのこれ? 耳がなんだかくすぐったい感じがして……熱い。
 彼に〝愛音〟と呼ばれると、自分の名前が別の響きを持つように感じられる。
「そんな言葉でごまかさないでください」
 熱い耳を押さえながら強い口調で迫れば、彼はクスッと笑った。
「わかった。だが、しつこく絡んでくる段階で愛音はもう酔ってる。――赤パジャマ黄パジャマ茶パジャマ。東京特許許可局許可局長。この竹垣に竹立てかけたのは竹立てかけたかったから竹立てかけた」
 颯人さんが見事な早口言葉を披露して、思わずパチパチと手を叩いた。
「おお。すご〜い!」
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