極甘悪魔な御曹司の溺愛は揺るがない【財閥御曹司シリーズ伊達家編】

「もっと飲みたかったのに……」
　颯人さんに恨みがましい視線を向け、水をゴクッとひと口飲むが、全然楽しくない。
「水を飲めば少しは酔いがさめる。すでに目が据わってきてるぞ」
　彼に指摘されても、認めずに言い返した。
「だからまだ酔ってません。他のバーで飲み直します」
　ここにいてはお酒を飲ませてもらえない。
　なぜ彼は私に構うのだろう。よっぽどお子さまに見えるのかな？
　ムスッとしてバッグを手にして立ち上がろうとしたら、足がふらついて思わず椅子の背につかまった。
　だが、その拍子に椅子がクルリと回転し、身体がよろける。
「あっ！」
　床が目の前に迫ってきてそのまま倒れるかと思ったけれど、颯人さんに助けられた。
「危ない！　だから言っただろ？　酔ってるって」
　私を抱きかかえ、彼が意地悪く微笑む。
「酔ってません」
　慌てて離れようとしたが、彼は放してくれない。
「強情だな。ひとりで立つこともできないくせに」