極甘悪魔な御曹司の溺愛は揺るがない【財閥御曹司シリーズ伊達家編】
なんだか急に悲しくなってきて、涙がポロポロこぼれ落ちた。
「わかった。わかったから泣くな。じゃあ、お祝いすればいいんだろ?」
 颯人さんは私を宥めるように言うと、渡り廊下を通って客室棟の方に歩いていく。
「ど、どこに行くんですか?」
 涙を拭いながら尋ねる私に、彼は溜め息交じりで答えた。
「俺の部屋。もう十時近いし、ルームサービスでもとってお祝いしよう」
「え?」
 颯人さんの説明を聞いても頭がボーッとして理解できず、そのまま運ばれ部屋に連れていかれた。
 彼の部屋は豪華なスイートルームで、まるでマンションのように部屋がいくつもあって目を丸くする。
「私、スイートルームって初めてです。こんなに広いんですね。他に誰か泊まってるんですか?」
「いや、俺ひとり。で、今日で何歳になるんだ?」
 颯人さんはリビングにあるソファに私を下ろすと、私の年を確認する。
「二十六歳です」
「二十六? てっきり二十歳くらいかと思った」
< 21 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop