極甘悪魔な御曹司の溺愛は揺るがない【財閥御曹司シリーズ伊達家編】

　私が受け取ると、颯人さんは自分もグラスを手に取って掲げた。
「この出会いに乾杯」
　彼の瞳が優しく微笑む。
　美形男子が言うと、気障な台詞もとてもカッコいい。
　まるで絵に描いたかのような光景。すべてがキラキラ輝いて見える。
「ありがとう」
　はにかみながら颯人さんにそう言って、シャンパンを口にする。
「美味しい」
「待望のケーキも食べろよ」
　彼がカットしてくれたケーキも口にする。とても美味しくてほっぺが蕩けそうだ。
「ふふっ、幸せ〜。もう死んでも悔いはないです」
　ケーキを頬張ってニンマリする私に、彼は温かい目で微笑んだ。
「この程度のことで満足されてもな」
「私にとっては、一生分の思い出になるくらい幸せです。颯人さんって魔法使いみたい。お祝いしてくれてありがとう」
　夢から覚めたら、彼は消えてしまうかもしれない。
　だから颯人さんの目を見つめて笑顔で感謝の気持ちを伝えたら、彼が急に表情を変え、私の頬に手を添えた。