極甘悪魔な御曹司の溺愛は揺るがない【財閥御曹司シリーズ伊達家編】

２、義姉の代わりに見合い

　雨の音？
　ザーッという水音が聞こえて目が覚めた。
　目を擦りながら開けると、知らない部屋にいて思わず固まる。
　二十畳ほどありそうな広い寝室。どこかの王さまが使いそうな幅三メートルほどの大きなベッドで私は寝ていて、しかも裸だった。
　夢でも見ているのかと思って二度瞬きしたが、状況は変わらない。
　ベッドの下には服が散乱していて、私の服だけではなく、男物のシャツやズボンもあった。
　雨の音と思ったのは、誰かがシャワーを浴びている音で……。
　颯人さんの顔が突然脳裏に浮かび、顔から血の気がサーッと引いていく。
　ひょっとして……私が夢だと思っていたのは全部現実だった？
　颯人さんも私の想像ではなく、現実にいる？　その彼と昨夜一夜を共にした？
　彼に抱かれた記憶が鮮明に浮かび上がってきて、失神しそうになった。
　どうやら私は大変なことをやらかしてしまったらしい。
　彼の吐息も、彼の肌の温もりも、私の身体はしっかり覚えている。ううん、刻みつけられていると言った方が正しいかもしれない。