極甘悪魔な御曹司の溺愛は揺るがない【財閥御曹司シリーズ伊達家編】
 その文面を見て、ひどく落胆した。
 今日……九月二十九日は私の誕生日で、ここ銀座にあるお洒落なイタリアンで恋人とお祝いをする予定だった。
 私は木村愛音、二十六歳。身長は百六十センチ、顔は丸顔で、おまけに目もまん丸の二重ということもあって、年よりも若く見られがち。
 腰まである少しウェーブがかった天然のライトブラウンの髪は、私のトレードマーク。私の彼も『その髪綺麗だな』と褒めてくれる。
 そんな私は、日本の三大財閥のひとつ、伊達財閥の中心企業である総合商社『ディーエー』の本社経理部に在籍している。
 就職先は立派だけれど、私は公務員試験を落ちて身内のコネで入社した、平凡でなんの取り柄もない落ちこぼれ社員。有名国立大を出て財務省に入った美人で才媛の姉とはえらい違いだ。
 伊達財閥は、国内外に鉄道、ホテル、不動産、石油、電機等の事業を展開し、五百以上の子会社を抱え、全世界の総従業員数は約二百万人ほど。総売上高は七十兆円で、総資産に至ってはゆうに三百兆円を超える。
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