極甘悪魔な御曹司の溺愛は揺るがない【財閥御曹司シリーズ伊達家編】
 その伊達財閥の本丸的な存在である四十五階建てのディーエー本社ビルは、丸の内のオフィス街にあって、九百人を超える社員が働いている。
 ハーッと溜め息をつきながら、彼にメッセージを打った。
【仕事なら仕方ないね。気をつけて行ってきて。あまり無理しないでね】
 彼は外資系企業のエリート。仕事が忙しいから今日みたいにドタキャンになることは珍しくない。
 この三カ月くらいデートがずっと潰れて彼に会えなかったから、今夜くらいは一緒に過ごしたかったんだけどな。
 定時で仕事を終らせて楽しみにしていたのについていない。
 でも、彼は仕事なんだからしょうがないよね。
 そう自分を納得させると、席を立ち、店員にキャンセルの旨を伝えた。
 ふたり分合わせて二万円も払ったけれど、ひとりで食事をするような気分じゃなかった。
 店を出ると、駅に向かってトボトボと歩く。金曜の夜だからか、カップルと何度もすれ違った。
 楽しそうでいいな。
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